全てはゲーム

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人目もはばからず泣いてしまっていた私を、車内に乗り合わせた人達はチラチラと気まずそうに見ていた。 「…っ…」 恥ずかしいなんて思いよりも、私はただ悲しいだけだった。 泣きながらやっとの思いで家に着くと、いつものように真っ暗な部屋の電気を付けた。 そして静まり返る空気の中、テレビの電源ボタンを押すと音量ボタンを押し続けて目一杯音量を大きくした。 うるさいぐらいに響くテレビの音。 映し出されたバラエティ番組では、よく見るタレント達がくだらないグルメレポ対決をしている。 ソファに座った私は、ただそれをぼんやりと見つめ続けた。 この部屋で一緒に食事をしたことも、あの笑顔も、求めあった夜も、全部ウソだった。 ハンバーグを食べて美味しい、毎日でも食べたいって言ってくれたことも、炒飯をまた作ってと言ってくれたことも、全部だよね? 抱きしめてくれたのも、何度も好きだと言ってくれたのも…全部賭けのためだったんだよね? 思い出したくないのに、椎名と過ごした時間が頭の中を駆け巡る。 最低だった。 最低な男だった。 だけど、これが当然の流れなのかもしれない。 始めっからおかしかったんだ。 あんなに上手い展開、あるわけなかったんだ。 どうして気付かなかったんだろう。 どうして…
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