結婚式のリアル

3/30
前へ
/353ページ
次へ
もう終わったことだ。 わざわざ思い出す必要なんてない。 思い出すような思い出じゃない。 全部ウソだったんだから…。 「莉奈!」 「あっ!サキ」 式場に着くと、すぐに入口でサキとバッタリ遭遇した。 「ついに来たね、この日が」 「だね、莉奈緊張しない?私何だかすっごく緊張してるんだけど」 「ははっ、サキっぽい。私は緊張っていうよりもちょっと寂しいかな。エリの花嫁姿見たら泣いちゃうかも」 私がそう言うと、サキはウンウンと頷きながら私の背中をぽんっと優しく押した。 「あ!そういえばさ、莉奈、あれからどうなったの?」 式場の中を進みながら、交わす会話。 「えっ、あぁ、あれね…」 言葉を濁すと、サキは何かを察したように言った。 「あっ、ま、今日はいいや。またゆっくり聞かせて?」 「うん」 空気で感じとってくれる関係。 ものすごくラクだと改めて思う。 「新婦側の受付を頼まれている松永と田中なんですけど」 その時ちょうどすれ違った式場のスタッフに声をかけると、その人は丁寧に受付への案内をしてくれた。 そして受付開始までまだ20分ほどの時間があると説明された私達は、エリの親族の控え室に挨拶に向かった。 「莉奈ちゃん!あ、サキちゃんも!」     
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1517人が本棚に入れています
本棚に追加