結婚式のリアル

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控え室をノックしてドアが開いたと同時に大きな声が響く。 「ご無沙汰してます」 「お久しぶりです」 挨拶しながら頭を下げると、エリのお母さんが嬉しそうに私達を中へと引っ張ってくれた。 「本当何年ぶりかしら?二人とも綺麗になったわね、ねぇ、お父さん」 「あぁ、そうだな。すっかり大人の女性になったなぁ」 目を細めながら懐かしそうに私達を見るエリの両親。 「今日の結婚式、私達が受付をさせてもらうんです」 「華やかな女子二人組でしょ?」 サキがそう言うと、おばさん達はにこやかに笑った。 「ありがとう、莉奈ちゃんサキちゃん」 「これからもエリのこと、よろしくお願いします」 そして何だか改まったみたいに、二人は私達にゆっくりとお辞儀をした。 「もう!何かもう泣いちゃいそうなんですけど」 明るくそう言ったけれど、私は本当に泣きそうだった。 エリは一人娘で、 ずっと大事に大事に育てられてきた。 門限が厳しかったり、若い頃はよく怒られていたけど、それも思い返せば大切にされ、想われていたからだ。
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