結婚式のリアル

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「綺麗…」 思わず声が出てしまっていた。 おじさんと腕を組み、現れたエリ。 真っ白な純白のドレスを着たエリ。 エリは、ドアが開いたその時にはもうすでに泣いてしまっていた。 ヴェールの向こうに薄っすら見えるエリの顔。 そして、その隣でもう一人。 今にも泣きだしてしまいそうな、真っ赤な目をしたエリのお父さん。 見ているだけで、もうダメだった。 気がつけば、涙が溢れて止まらなかった。 ゆっくりと、一歩ずつ進むバージンロード。 エリの想い。 おじさんの想い。 見つめているおばさんの想い。 ここにいる全ての人の想い。 それが今、ひとつになっていく気がした。 新郎の元へと辿りついたエリは、おじさんの腕からその腕を離し、新郎の元へと一歩前へ進んだ。 おじさんは、我慢の限界だったようだった。 真っ赤な瞳から、涙がポロポロと流れているのが見えた。
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