結婚式のリアル

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そして、しばらくすると会場全体の照明がだんだん暗くなり始めた。 エリ達、お色直し終わったんだ。 再入場かな。 そう思いながら待っていたけれど、高砂席の隣にある大きなスクリーンが明るい光を放ち、そのスクリーンに周囲の視線が集まっていた。 あっ、この曲…エリが好きだった曲だ。 懐かしいBGMと共に、赤ちゃんの頃のエリの姿がそこに映し出されていた。 プロフィールムービーだ。 スクリーンを見つめながら、いろんな想いを噛み締めた。 おばさんに大切そうに抱かれていた赤ちゃんのエリ。 おじさんに肩車をされているエリ。 幼稚園の頃の、可愛いエリ。 小学校の入学式には、大きなランドセルを背負い、おじさんとおばさんの前に立ち、あどけない笑顔で笑っていた。 写真が変わるたび、だんだん成長していくエリ。 中学生の頃はかなり短い髪型で、活発な感じだったのに、高校生になるとその短かった髪は月日と共に伸び、エリを一気に大人っぽくしていた。 私達の知っている、エリの姿。 いつも見ていたエリの姿。 「あっ…」 「これ、修学旅行だよね?」 「うん」 思わずクスッと笑ってしまった。 私とサキがそこに映し出されていたからだ。 三人で、かき氷を食べている写真。 高校の修学旅行で沖縄に行った時のものだった。 「あははっ、これ卒業式だよね」 「懐かしいね…」 卒業証書を手に、何故か変顔で並ぶ私達三人。 どうしてこんなバカみたいな顔をして写してしまったのか、よく覚えていない。 胸がキュッとなっていく。 時の流れの速さに、何故か切なくなっていたのかもしれない。 大学時代にも、私達が写った写真がたくさんあった。 三人で遊園地に行った時の写真。 温泉に行った時の写真。 酔っ払った真っ赤な顔の写真。 いつも一緒にいたね。 ケンカもしたけど、仲直りしたら前よりももっともっと仲良くなれたよね。 バカみたいなことばっかりして、でもそれがいつも楽しかった。
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