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「エリ……高2の夏、私達が一緒にいなかった一週間のこと覚えてる?」
私がそう言うと、エリは何かを思い出したようにクスッと笑って頷いた。
「私とサキがくだらないことで喧嘩して…口も聞かなくなってさ。そしたらエリまで私ともサキとも口聞かなくなって。いつも三人でいたのに、私達はみんな一人ぼっちになったよね。あの時私、どっちの肩ももたなかったエリに、びっくりしたのを今でも覚えてるんだ」
あの夏のことは、今でも忘れない。
「エリとサキの方が先に仲良くなってたのに、そこに私が後から入って三人になったでしょ?だからサキと喧嘩した時、エリはやっぱりサキの味方になるんだろうなって勝手にそう思ってて…エリの意外な行動に驚いた」
三人組って、結局そういうものなのだろうとあの時までは思ってた。
だけどエリは、喧嘩した私達に一切首を突っ込まず、むしろ全く関わってはこなくて。
そして、私達はそれぞれ一人になってしまった。
教室でも一人。
帰り道も一人。
いつも三人で笑っていたのに、みんなが一人ぼっちになった。
「でもさ、そんなことが続いて一週間が経った日、エリがいきなり授業中に泣き出したんだよね」
どうしたんだ、って先生がエリに近付いていって。
そしたらエリは、何でもないですって泣きながら答えて。
「そしたら私もサキも泣きだしちゃってさ…授業中なのに三人でポロポロ涙こぼして…」
きっと一週間で、限界だった。
サキとの喧嘩も思い返せばたいした理由でもなくて。
どうして喧嘩しちゃったんだろうって、後悔ばかりを繰り返すだけの毎日だった。
一人でいるのって、あんなにも寂しくてあんなにもつまらないのだということが、あの一週間で苦しいくらいに分かった。
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