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「だいたいウソって何だよ、23のクソガキのくせに」
サトルはそう言うと、改まったように咳払いをして。
「俺の気持ちには1ミリだってウソはない。あいつとは違う。たった一度しかない人生だから、絶対に後悔したくないんだ。俺は莉奈と生きていきたい。ずっとお前のそばにいたい」
力強くそう言った。
「傷つけたり、泣かせるような真似はもう絶対にしない。莉奈の笑顔が毎日見られるように、俺頑張るから…だから……」
サトルはそう言いながら、私の手をそっと掴み、そして…
「もう一回だけ、信じてほしい。ずっとずっと…俺のそばにいてほしいんだ」
今返したばかりの指輪ケースを私の手に握らせた。
「お前が辛い時、苦しい時、俺はお前のそばにいたい。楽しい時、笑ってる時はそばで一緒に笑いたい。一生一緒にいたい。莉奈がいつかおばあちゃんになった時、あぁ幸せだったなって振り返ってくれるようなそんな人生の思い出を、俺にたくさん作らせてくれないか?」
聞き終えた瞬間、スーッと涙が流れていた。
おばあちゃんになった時、幸せだったと
振り返ることのできる人生を作らせてくれないか?と、サトルはそう言った。
未来のことなんて誰にも分からない。
だけど、サトルのその言葉を聞いた時、私が結婚する人はサトルなのかもしれないと感じた。
薄っすらと未来が見えたような気がしたからだ。
私が笑ってると、サトルも笑ってる。
そんな未来が頭に少しだけ浮かぶ。
愛してくれる人と結婚することが、幸せへの一番の近道なのかもしれない。
例えばそれが、”今”一番好きな人ではないとしても。
愛してくれる人がそばにいて、愛し続けてくれることで…
いつかそれが本物の愛になって本物の幸せへと繋がる時が来るのかもしれない。
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