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「だって一昨日だったかな?
二人で飲みに行ってた時、あいつ言ってたんです。このまま引きずってても、結婚する人を思っていたって…どうにもならないって。だから…もしかしたら本当に早川さんと付き合ったんだとしたら、昨日とか今日に始まった話なんだと思います」
桐谷君に知らされていく、たくさんの真実たち。
私は何をしていたんだろう。
椎名のどこを何を見ていたんだろう。
何を…思い違えていたんだろう。
「私……どうしよう…私…」
「松永さん?」
「私…」
気がついたらポロポロ涙が溢れていた。
ウソじゃなかった。
あの言葉も、あの笑顔も、あの温もりも。
ウソじゃなかったんだ。
「何で泣くんですか」
「……っ…」
「結婚するんですよね?」
「……んっ……」
「俺が話しておいてこんなこと言うの失礼だとは思うんですけど…もうこの話は忘れて下さい。あいつもあいつなりに考えてこうしたんだと思います。ウソをついて身を引いたのも、松永さんのためだったんだと思います。だから…幸せになって下さい。その指輪、すっげー綺麗です」
桐谷君はそう言うと、悲しい目をしながら作ったような笑顔を見せた。
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