母の気付き

2/16
前へ
/353ページ
次へ
話をしたり、歌を口ずさみながら向かう道のり。 日曜で休日だったけれど、高速も混雑することなくスムーズに進み、3時に着く予定だった実家に着いたのは、予定よりも30分早い時間だった。 「早く着いて大丈夫か?つーか俺、久しぶりだしマジでドキドキするんだけど」 近くの駐車場に車を停めると、サトルがソワソワしながらネクタイを締め直した。 スーツ姿のサトルは見慣れているけれど、この日は珍しくガチガチに緊張しているようだった。 「あ、そうだ」 「ん?」 「あのさ、お母さん達にまだサトルのこと話してないの」 「えっ?」 「紹介したい人がいるっていうのは話してるんだけど。だからお母さんもお父さんもビックリするかもね」 「えぇっ!?マジかよ!?どうしよう…何で俺なんだとか思われたら…」 弱気になっているサトルを見て私は笑ってしまったけれど。 「大丈夫だよ、お父さんもお母さんもサトルのこと気に入ってたみたいだから」 私がそう言うと、本当に?と、ホッとしたように笑顔になった。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1517人が本棚に入れています
本棚に追加