母の気付き

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「あーっ、飲み過ぎたぁ…」 「ほんと、飲み過ぎ。すっごいお酒クサイんだけど」 「マジで?ついつい嬉しくてさ…つぎ合ってたらどんどん飲んじゃって。多分お父さんも竜二君も相当飲んだと思うよ」 サトルは気分が良さそうだった。 少しシートを倒し、どっしりと座っている。 「寝ててもいいよ、着いたら起こすし」 「いや、起きてる」 「無理しないでいいのに」 そんなやり取りをしていたはずだったけれど、しばらくするとスースーと寝息が聞こえてきて。 ふとサトルを見ると気持ちよさそうに眠ってしまっていた。 きっと気が張っていて疲れたんだろう。 私は何も言わずに、そのままサトルを寝かせておいた。 BGMは、行きと同じあの懐かしいアルバム。 それを聴きながら夜の高速を走るのは気分が良かった。 遠くに見えるキラキラした景色を時折眺めていると、あぁ、これからこういうことが増えていくのかな、なんて。そんなことをぼんやりと考えた。 酔っ払いのサトルの代わりに私が運転したりとか。 懐かしいアルバムを聴きながら付き合い始めた頃はあぁだったね、結婚の挨拶に行く時もこれを聴いてたよね、とか。 そんなことを懐かしく振り返る日が来るのかな…なんて。
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