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ソファに座り、そのまま倒れるようにそこに寝転がった。
キスぐらいでこんな風になってちゃ、結婚なんてできない。
キスぐらいでつまづいていたら、セックスなんて出来るわけない。
お父さんとお母さんに孫を抱かせてあげたいんでしょ?
だったら…やっぱり私が受け入れなければいけないんだ。
次は避けられない。
絶対に。
【今家に着いたよ。今日はありがとう】
サトルにメッセージを送っておいた。
そして、ため息をつき携帯をテーブルに置こうとした時だった。
携帯の画面が光り、音を鳴らしながら震えた。
お母さん?
「もしもし?」
「あぁ、莉奈?もう着いた?」
「うん、ちょうど今着いたとこだよ」
実家からではなくお母さんの携帯からの電話。
いつもは携帯を持っているくせに自宅の電話からかけてくるから何だかいつもと違って変な感じがした。
「どうしたの?」
「うん、あのね、莉奈。さっきサトル君から電話があったのよ」
「サトルから?何て?」
「うん…それがね、やっぱり結婚の話はもう少し待ってくれないかって」
「え?」
突然の話に、私はただただ驚くばかりだった。
「すいませんって謝ってた、サトル君。お母さんもね、今日あなた達といて少し感じていたことがあったの」
「え?何…を?」
「最初は嬉しくてお母さんも舞い上がってたんだけど…結婚の話をしてる時、莉奈が何だか無理してるみたいに見えて。サトル君も、何だか途中からお酒のペースすごい上がったでしょ?」
「…そうかな?」
「莉奈のそんな表情をチラチラ見ながらサトル君はヤケになって飲んでた気がするの」
「…別に無理なんかしてないよ」
してない。
もうしない。
しないようにするから…
「でも、お母さんには二人が無理してるように見えた。だからさっきサトル君から電話があった時、あぁやっぱり何かあるのかなって。理由は聞かなかったけどね、そう思ったのよ」
サトルは、どうして電話なんてしたの?
今日挨拶に行って、うまくまとまって帰ってきたのに…
どうして…
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