出会えて良かった

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もつれていたものが、急速にほどけていく気がした。 「ごめんね…早川さん」 「何がですか?」 「……ありがとう」 私がそう言うと、早川さんは照れくさそうに笑った。 「すいません、混み合ってきたのでこちら相席よろしいですか?」 そして和やかな雰囲気になったその時。 お店の店員のおばさんが、慌てたように私たちに聞いてきた。 「あぁ、どうぞ」 「はい」 「ごめんなさいね、ありがとう。こちらどうぞー!」 おばさんはそう言うと、入口付近にいたお客さん二人を私たちの座るテーブルへと案内していく。 「ちょっ!松永さん!」 「ん?」 早川さんは少し前に身を乗りだしたかと思うと私に近付き、小さな声で言った。 「こっちに来る二人組、超イケメンなんですけど」 「えっ?」 聞いた瞬間、私は思わず笑ってしまった。 「すいません、相席してもらって」 「ありがとうございます」 爽やかにそう言って隣に座った二人組。 おー、確かにイケメンだ。 「会社、お近くなんですか?」 えっ!? 早川さんはニコニコしながら隣に座った二人組に声をかけた。 「はい、近くっていうか、このビルの上なんです」 「お二人もお近くなんですか?」 「はい!私たちもすぐそこなんです」 「へぇーっ!近くの会社にはこんな可愛い子がいるんですね、ね、倉木さん!」 「ははっ、神谷はいつもうちの会社は男ばっかりで男クサイって言ってるもんな」 初対面なのに、何だか盛り上がる私たちのテーブル。
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