最後の恋

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「えっと……あの、話したいことがあって」 「はい」 「ちょっと…少しでいいから、話せないかな?」 「急ぎですか?」 目を合わせてくれないまま、椎名は冷たい口調でパソコンと向き合っている。 胸がギュッと締め付けられた。 もう…遅いのかな? 私、気付くのが遅過ぎた? 視界がぼんやりと滲んでくる。 「伝えたいことがあるから…っ……会いに来たの」 周りの視線なんて、もうどうでも良かった。 もうすぐ30歳だろうが年上だろうが。 周りに何を言われようが……私は椎名が好きだ。 泣きながら、震える手をギュッと握りしめた。 「…椎名っ……私…っ…気付いたの…。やっぱり椎名じゃなきゃ…」 私がそう言うと、椎名はパタンとノートパソコンを閉じた。 「ほんま勝手な人やわ」 そしてそう言いながら立ち上がると、こっちに向かって歩いてくる。 「ほんま、何考えてるんか全然分からんし…」 そして、つぶやくような声でそう言ったかと思ったら、いきなり私の手をギュッと掴んで。 「もう知らんで?……どうなっても」 そのまま引っ張られるように、椎名は私の手を掴んで歩きだした。
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