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「椎名…」
「ん?」
「私、幸せになるために何が一番大切なのか、やっと分かったんだ」
私がそう言うと、椎名は抱きしめていた腕をゆっくりとゆるめていく。
「何?」
そして、私を見下ろし優しく聞いた。
「結婚するとかしないとか…子供を産むとか産まないとか。そんなの大したものじゃないんだって。好きって、一緒にいたいって、そばにいたいって思う気持ち…結局それが…一番大切なものなんだって」
私がそう言うと、椎名はふふっと笑いながら私の目をジッと見つめる。
「で?莉奈さんは誰と一緒にいたいと思ったん?」
そして、もうきっと…いや、絶対に分かっているはずなのに、私を真っ直ぐ見下ろしながらそう聞いてきた。
「怒ってたら電話出ないし」
「うん」
「年下のくせに生意気だし」
「ははっ、うん…」
「…つまんないウソつくし」
「うん」
「年の差とか将来とか、やっぱり少しの不安は消えないかもしれないけど…でもね」
私は真っ直ぐ椎名の目を見つめて言った。
「それでも私は…椎名のそばにいたいと思った」
「うん」
「だから…もう一度私を…あなたの彼女にして下さい」
私がそう言った瞬間、椎名は大好きなあの笑顔で私に微笑み、そしてまたギュッと優しく抱きしめてくれた。
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