第一章 あの日のきみともう一度

3/39
前へ
/39ページ
次へ
 世の中には、不思議なことがあるものだ。    奇跡とか願掛けとか神様仏様をへのお願いを本気で信じているわけではない。けれども、努力をすればすべてとまではいかなくても、ある程度の結果は返ってくるということを十七年生きてきた上でなんとなく悟った。大人として扱われる年もだんだん近づいてきたし、自分の身に降りかかることすべてのことだって結構知り尽くしたような気でいた。  今の私が存在しているのは、努力を重ねたからである。たくさん苦労もしたし、考えもした。だからこそ、どうすればうまく生きていけるのだろうかなんて、すこし知恵を使えば簡単な問題だと思っていた。  努力はまだまだ怠ることはできない。  それでもまだ信じられないこともあるようなのだから。予想以上に刺激があってまだまだ人生捨てたもんじゃないと思うくらいに。  人生はサバイバルだ。いつも手探りで新しい発見がある・・・とかなんとか、誰かが言っていたような気がする。  目の前で頭を抱えてしゃがみこむ中学生に目を向けながら、意外と冷静な自分に驚いた。 「絶対にありえねぇ・・・」  彼はまだ同じ言葉を繰り返していた。 
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加