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 激・雨の日。  時刻(ときざみ)(ゆとり)は、雨に煙る夕暮れの町並みを、一人暮らしをしている自宅アパートの窓から眺めていた。もちろん、閉め切った窓から、である。 (すんごい降るなぁ……。どしゃ降りっていうか、シャワー並じゃん)  その激しさは、町にあふれているはずの日常の音をかき消すほどだ。というかむしろ、雨音しか聞こえない。  ……早く晴れないかな。  不謹慎かも知れないけど。  遊は窓の縁に腕をのせ、そこに体重を預けながら溜息を吐いた。  と言うのも。  遊は雨が苦手なのである。  理由はまぁ、濡れるし、汚れるし、メンドクサイからと言ったところか。  それに加えて――湿気が重くて気が落ちるのが嫌だっだ。  まとわりつく湿気に、テンションがいまいち上がりにくい。その所為で、洗濯をしようにもそのモチベーションが保ちにくい。やりにくさ難さ余って雨が憎い。  遊は二度目の溜息を吐いて、なんとはなしに眼鏡のレンズを拭いて掛け直した。  と。  何気なく彷徨わせた視線の先、景色の遠方に黒い影を見た。  何か浮いてるなぁ……なんだあれ。     
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