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その日、僕は職場の黒川先輩について、取引先を訪問していました。
そうして一番のお得意様の高遠さんのところを訪れた時のことです。
打ち合わせを終え、帰ろうとしていると事務員の絵梨花さんが近づいてきて、お茶でも飲んでいきませんかと勧めてくれました。
黒川さんは声をかけられてから、腕時計をチラっと見て残念そうに答えました。
「ありがとう、でも次に行くところもあるから、今回は遠慮しておくわ」
「……そうですか、残念です」
「そのかわりまた今度一緒にご飯でも食べに行きましょう、ね」
落ち込んだ表情をした絵梨花さんはその言葉を聞いてまた明るくなりました。
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