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最初、マスターは心霊相談については店員の倉科さんが勝手に広めたものだからと謙遜していましたが、少しでも判断の一助になるのでしたらと聞いてくれることになりました。
僕は自分の職場の教育係である先輩がかなり霊感の強い女性であること、その彼女とは『視える部分』も含めて最近ようやく打ち解けてきたのだが、彼女の方が僕と心安くなることに懸念を持っているようだということなどをこれまでのエピソードを交えながら話しました。
一通り話を聞いた後、マスターは口を開きました。
「お話を聞く限りでは確かにその彼女はあなたと一定の距離を置こうとしているのかもしれませんね」
やはりそうなんだと僕はがっかりしましたが、その理由の詳しいところは理解ができませんでした。
「もちろん、今まで彼女が視えてしまうことであなたにも危害が及びそうなこともあったわけですよね」
マスターの問いかけに僕は頷きました。
「しかし、あくまで私の勘ですが、その彼女には気心が知れるようになることで逆に距離を置きたくなる明確な理由があるような気がしますね」
それは僕も感じていたことでした。
彼女の心霊的な部分の背景にはまだ何か僕を含めた近しい人に隠している要素があるような気がしていました。
そのとき、僕達の話を聞いていた倉科さんが口を開きました。
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