198人が本棚に入れています
本棚に追加
「その彼女さんは心霊事件にもっとかかわりたいんじゃないですか?」
最初、何を言ったのかよくわからなかったのですが、倉科さんの言葉を頭の中で反芻してみました。
『彼女はもっと心霊事件にかかわりたい』
その言葉の意味を理解すると、はっとさせられる一言でした。
今まで彼女は心霊的な事件にはなるべくかかわりたくないようなそぶりを見せていましたが、本当はもっと親身になって解決したいと考えている……
あり得る推測でした。
だから遠回しに僕達を遠ざけようとしているのでしょうか。
「仮にそうだとしても、その人には命を助けてもらったこともあるし、私は別に構いませんよ」
藍さんが倉科さんの言葉を受けて答えました。
「あなたが良くても、自分のせいで災厄が降りかかることが辛いんですよ、わかってませんね」
倉科さんが容赦ない言葉を藍さんに浴びせかけました。
正論だったので悔しそうな表情をしながらも藍さんは黙りました。
最初のコメントを投稿しよう!