エピソード24 七不思議、誕生

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「うん、もう一つ欲しいなあ、そうすれば意味のある数字になる」 「??……意味のある数字って何ですか」 「ああ、わかりづらかったかな、あるカテゴリーのものを数字でくくってやることで差別化するんだよ。例えば四国八十八箇所とかはまさにそうだろう、素人が聞いたらその選ばれた八十八の寺院は何か別格のものに感じてしまう」 「それじゃ、当真社長の言っていた心霊スポットの特別な数字というのは?」 「もちろん七だよ、あと一つだろう」 「七……ですか?」 当真社長は私に答えを出させようとしているようでしたが、私はその考えが分かっていませんでした。 「七不思議だよ」 七不思議、一般的には学校などでの怪異の一形式として有名でしたが、確かに日本全国で見ても地域の奇異や神秘を表すものとしても使われていました。 当真さんは行政管理スポットというこの県域の忌地を七不思議に無理やり数合わせをして、その格を上げようと考えているようでした。 「まあ、そういうことだから、高遠君、もう一つ何か考えておいてよ」 当真社長はにやりと笑いました。 私も彼の考えにはなるほどと思う要素もあったのですが、あの腰の重い行政がわざわざ管理しなければ危険と考えるテラースポットを合理性の名のもとにあまりに軽く考えすぎではないか、そういう気持ち悪さを感じていました。
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