俺は君を幸せにするために神様になった

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「ほれ、そろそろ起きんか。痛みなんざありゃせんだろ。あーっと…”和生(かずい)”。名前が随分とイケメンだな。」 背中をドンと何かでつつかれ、重たかったはずの瞼がパチリと開く。 あ、あれ…? 砂地だったはずの地面の感触は、何故か古びた木の板に変わっていて、背中の痛みも特にない。不思議と身体は身軽な気がしてむくりと起き上がってみた。 周囲に窓はなく、一面木造の壁で、石灰なのか石なのかコンクリートなのかは定かでは無いけれど、重々しいドアがある。特に灯りが入って来る所も無ければ、電気がついているわけでもないのに、何色もの小さな丸い光が点在している不思議な空間だった。 ここ…どこだ? とりあえず公園では無い事は理解したけれど、一向に心当たりのないそこに、ただ、ただ首を傾げる。 「お前さん、幽霊になりたいようだが、それはお前さんには無理だ。」 目の前には若干眠たそうな目をしていて、やたら猫背な年齢不詳な男。中肉中背と言った所だろうか。白袴に濃紺の羽織を纏い、褐色で短めの髪。少し長めのT字杖の様な物をつき、立っている。 言葉遣いは老人風で、どことなくしわがれてはいるけれど、見た目だけならさほど俺と変わらない年齢に見えた。 「確かにあんたは刺されて、人間としての余命はもう幾ばくもない状態だ。けどな、 残念ながら幽霊っちゅーのは、ちゃんと人間の命が絶った後になれるもんでよ。しかも、必ず全員がなれるとは限らない、ちと高貴なもんで、特別なんだ。」 …あんたは誰ですか? 俺のそんな疑問など全く気にしていないのか、それとも俺の顔色にさほどそんな色が見えないのか、年齢不詳な男はいたって普通に話を続ける。 「でも、神様になりたいっつーなら話は別だ。神様は曖昧な存在だからな。今のあんたの状態でもなることは出来る。そしてあんたの“願い”に役立つかもしれん。その為に大神さんはここにあんたの“意識”をよこしたんだろうしな。」
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