俺は君を幸せにするために神様になった

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「まあ…夢かどうかは、おぬしに考え方の判断は任せるけどな。つか、俺のどこが嘘くさいっつーんだよ。全く!」 さっきから 俺の頭の中も何となくよんでいるみたいだし。幾ばくも無いということは、もうすぐ本格的に死ぬわけで。そうなる前に、夢でも何でも、あの子に会えるなら会いたい。 「会えるだけじゃねーぞ?お前さんが神様になったら、“藤野千明”だけの為にその力が使える。いわゆる“藤野千明専用の神様”ってわけだ。」 そんなの…。 どうせこの世から居なくなるなら、最後に彼女の為に力を使えるなら本望だ。 「んじゃ、なるか?神様になったら、ちと制約もあるぞ?」 「…どんな?」 主は、「おっ!“音”を出したな、和生!」と楽しそうに笑うと、あぐらをかいたまま手を後ろについた。 「もちろん、やり方はおまえさんの自由だけどな。 彼女にお前の記憶はない。今までの出来事一切な。けれど、稀に思い出すケースもあるんだよ。けど、思い出されるのは禁忌。それを助長するのもダメだ。あんたはあくまでも“神様”として彼女を守り続け、幸せに導く事。」 「…わかった。」 頷いた俺に、主の笑顔が消えた。 「本当に大丈夫か?もし、犯したら、お前はその存在ごと昇華されてしまうのだぞ?」 …どうせもうすぐ無くなる命だ。それでも構わない。 「…惚れても、叶わんぞ。あくまでもあんたは“神様”として彼女を幸せに導く。」 言われて、ハッと思わず苦笑い。 「惚れたところで彼女の隣にはどっちにしろ居られないじゃないですか。」 「まあ…な。」 「だったら、神様でもなんでも、彼女の側に居られる方法があるならとっととそれでお願いします。」 「そうか……おぬしの決意が固いならば、しかたあるまい。大神さんもそれをわかっていてここによこしたんだろうしな。」 スッとその掌が俺の前に出された。そこから目がくらむほどの光が視界を覆い尽くす。細めた先にはやっぱり千明さんの笑顔。 それを消したくなくて、敢えて瞼を閉じた。 “お前さんの健闘を祈るぞ” 頭の中で主の声が響く。 ああ…頑張るさ。 “藤野千明”を幸せに導いてみせる。
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