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番外編 エイプリルフール
「母さん、俺、ヒイラギミズエと交際してるから。
いずれ、結婚する。」
「は?」
たっぷり一分間は表情が固まっていたであろう母親。
無理もない。
柊瑞恵は、俺の親父の再婚相手の連れ子であり、俺の異母妹の姉になるのだから。
「ああ、今日は四月一日か。
エイプリルフールね。
騙そうたって、そうはいかないからね。」
「エイプリルフール?
いや、関係ないから。
本当の事だからね。」
「ちょっと、よりによって、離婚した元旦那と親戚になれって言うの?
あんただって、実の父親が結婚相手の義理の父親だなんて、ややこしいったらないじゃないの!
お祖父ちゃん達に何て説明すれば良いのよ!!」
「今度連れてくるから、会ってやって。
とっても良い娘なんだ。」
「あ~もう、仕方ないわね。
やっぱりエイプリルフールでした、なんて言わないでしょうね?」
「もちろん、言わないさ。
母さんには肩身の狭い思いさせてしまうかも知れないけど、認めて欲しいんだ。」
「息子の大事な人だって言うんだから、反対なんかしないわ。
ちょっと、頭冷やす時間が欲しいだけ。
今度会わせてね。」
「有り難う、母さん。」
四月一日、白井聡太、母子の朝の会話でした。
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