番外編 エイプリルフール

1/4
前へ
/32ページ
次へ

番外編 エイプリルフール

「母さん、俺、ヒイラギミズエと交際してるから。 いずれ、結婚する。」 「は?」 たっぷり一分間は表情が固まっていたであろう母親。 無理もない。 柊瑞恵は、俺の親父の再婚相手の連れ子であり、俺の異母妹の姉になるのだから。 「ああ、今日は四月一日か。 エイプリルフールね。 騙そうたって、そうはいかないからね。」 「エイプリルフール? いや、関係ないから。 本当の事だからね。」 「ちょっと、よりによって、離婚した元旦那と親戚になれって言うの? あんただって、実の父親が結婚相手の義理の父親だなんて、ややこしいったらないじゃないの! お祖父ちゃん達に何て説明すれば良いのよ!!」 「今度連れてくるから、会ってやって。 とっても良い娘なんだ。」 「あ~もう、仕方ないわね。 やっぱりエイプリルフールでした、なんて言わないでしょうね?」 「もちろん、言わないさ。 母さんには肩身の狭い思いさせてしまうかも知れないけど、認めて欲しいんだ。」 「息子の大事な人だって言うんだから、反対なんかしないわ。 ちょっと、頭冷やす時間が欲しいだけ。 今度会わせてね。」 「有り難う、母さん。」 四月一日、白井聡太、母子の朝の会話でした。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加