0人が本棚に入れています
本棚に追加
廃棄処分にして下さい。
私は、欠陥品だった。
欠陥品というと聞こえは悪いが、ある一定の水準までは達しているが、まだ改善の余地ありと判断されるレベルのものだ。
私は、人との触れ合いが激減し、その感覚や感情を認識させることを目的として造られたロボットだった。
私は、ロボットのくせに一日の終わりに必ず眠らなければならなかった。そうしなければ『学習』しないのだと。ここが、欠陥品とされる部分なのだろう。
そして私は、改善データをとるためにその製造会社に勤める男性と暮らすことになった。
男性は私に『アイ』という名をつけ、私は男性を『先生』と呼んだ。
先に生きる人だから先生だと理由を述べたら、先生は声に出して笑っていた。
先生は私に色々なことを教えてくれた。
なぜ人は感覚や感情を把握しなければならないのか?なぜ私のようなロボットが造られたのか?ロボットが造られたことによる未来など、時に先生を困らせることも聞いた。
先生は、唸りながらも最後はきちんと答えてくれた。
「アイ、質問だよ。外は雨。冷蔵庫の中には何もない。お腹は空いた。さて、俺ならどうする?」
「料理の配達を頼む」
「当たり!……って、こんなことばかり教えてちゃダメか」
最初のコメントを投稿しよう!