魔王の戸惑い

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【クラス:魔王】  ステータス画面に表示されたその文字を見て、俺は片腕を天に突き上げた。 「よっしゃー! とうとうレアクラス【魔王】になったぞーー!!」  黒衣の装束に身を包んだ俺の周りには、様々なモンスターがずらりと並んでいる。  場所は俺が所有する(茨の城)の広間である。  赤い絨毯に豪華なシャンデリア。壁には高価な絵画や甲冑などを飾り、花瓶には永遠に枯れない花が咲き誇っている。  もちろん、現実じゃない。  ここは、VRMMOのゲーム《the monster world》の中なのだ。  俺の名前は笠置亮太、取り立てて目立ったところのない高校二年の男子だ。  中肉中背、可も無く不可もない容姿、運動も成績も並み。  そんな俺だが、唯一自慢出来るのは根気だ。  コツコツやるのは得意だし、それが好きな事ならもっと熱が入る。  最近俺がはまっていたのが《the monster world》のモンスター集めだった。  未確認情報だが、モンスターを千種類集めると、レアクラス【魔王】になれると掲示板に書いてあったからだ。    本当かどうかわからないけど、俺は何かをコレクションするのは好きだし、魔王というクラスにも興味があった。  それで数年間チャレンジした結果がこれだ。 「あの噂、マジだったんだなー。これで、トップランナーの《白帝》以来の魔王か。嬉しいなー。な、グレイ」 「きゅう」  近くにいたハイグレムリンのグレイに話しかけると、可愛いらしい鳴き声で返事をしてくれる。  《the monster world》のAiは優秀なので、まるで生きているかのような反応が返ってくるのだ。  
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