1,とどのつまり非日常

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「南雲くんってピアスしてるし白髪で黒メッシュだから最初は怖かったけど、なんかかっこいいよね」 「メッシュと言うよりはプリンだけどね」 「私同じクラスだけど、地毛申請してるの見た。なんでもお父さんの血筋が全員白なんだって」 「さすが都会っ子、って感じ。ハーフかな」  だから聞こえてるぞ、馬鹿!  いや、けれどもこれに関しては聞いていけなかった気がしてきた。学校前の道、俺よりも少し前を歩く女子達から聞こえる会話に若干の申し訳なさを感じながら、俺は右向け右をして細い路地裏へと入る。綺麗とはお世辞にも言えない道だから嫌だったけど、ちょうどいいから近道だ。  人通りがほとんどない道を全力で駆け抜け、壊れかけのフェンスを大股でひとっ飛び。そこから更に山へ入り舗装されていないでこぼこ道を走り抜ければ、すぐに目的地の古びた建物が目の前に現れる。 「……あ、やば」  忘れるところだった。  使い慣れたスクール鞄から狐のお面を取り出せば、お祭りの時みたく横の方にズラして付ける。うん、完璧。  時計を見れば時間は、午後四時五分前。 「今日は、遅刻じゃない」     
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