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神やあやかしの機嫌は損ねない方がいい。俺が『こちら』の学校に通い始めて、一番最初に学んだ事であり―― 一番、忘れてはいけないこと。
「ほら、三人とも座れ」
「はーい」
「雨、わたし喉が乾いた」
「おいらも」
二人の言葉は聞こえないふりをして、俺は一番後ろの真ん中に用意された自分の席に腰をかける。
「おはよ、雨くん」
「おはよ、ちょうちゃん」
向かって右隣の席に座る座敷わらしのちょうちゃんに、小さな声で挨拶を交わす。少し頬を赤らめて笑うちょうちゃんは、今日も言葉では表現できないような可愛さがある。
「わてに挨拶はないのか、雨」
「本日の営業は終了しました」
「まだ始まったばかりだぞ」
対してその逆、左隣から聞こえてきた犬の口元を模した面頬をつけた奴の声には、適当にあしらって。これが俺の――二つ目の日常。
「今日は一段と機嫌が悪いな、雨」
「当たり前だ。今日は遅刻じゃないと思ったのに」
「けれども雨くん、最初よりは早くなってると思う」
そんなちょうちゃんのフォローすらも、今の俺には情けなく感じる。本当に、今日は行けたと思ったんだけどさ。
「……いや」
それでも心のどこかで、嫌な予感はしていた。無理かもしれないってのは感じていた。所謂いつもの、第六感ってやつ。
「けど私は、二つの学校にちゃんと通う雨くんがすごいと思う」
「ちょうちゃん……!」
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