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唐突に自分の名を呼ばれ、少年――レイルス・フライハイトはその声のする方を向く。すると、そこには筋肉質で体格のいい金髪の美丈夫が、木箱を持った状態で立っていた。
レイルスも鍛えたつもりだったが、目の前の美丈夫には敵わないだろう。足も腕も丸太のように……とまでは言い過ぎかもしれないが、それ程太く感じるほど鍛えられていた。
美丈夫はレイルスが振り向くと、その瞳を観察するように軽く上下させる。その視線に気付いたレイルスは、若干身じろぎするものの特に彼から敵意は感じなかった。
すると確信をえたのか、
「やっぱりレイルスだ! 久しぶりだな!」
『ニカッ!』という効果音が付くほどの笑みで、口元から輝くような白い歯が顔を出した。
どうやら、この美丈夫はレイルスのことを知っているようであった。
(ええと、誰だろうか……。師匠……なわけないし、ティーダ……は違うな。こんな話し方はしない。となるとヨシュアか? いやでもアイツ金髪じゃ無かったし――……)
ただ残念なことにレイルスには目の前の美丈夫について思い当たる人物がいなかった。どれだけ頭を捻っても、自分が知っている友人や知り合いとは重ならない。
「もしかして、わからないか?」
そんなレイルスの雰囲気が伝わったのか、少し残念そうに目の前の美丈夫が告げてくる。レイルスも申し訳ないと思いつつも素直に白状する。
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