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「そういえば、グランツの家は武具工房だったな」
それでか、とレイルスは納得する。最近、自分はあまり武具工房に行くことも無くなったが、毎日、武器や鎧の材料になる金属鉱石や完成した武具を運んでいればそうなってもおかしくない。
この言い方だと、体力がいるはずの武具の作成もしているのかもしれない。そんな環境にいたのならば、成長するにつれ、自然と筋肉など付いていくものだろう。
「他のみんなはどうしてる?」
「そうだな……俺みたいに家が店の奴は見習いとして手伝いをしてるよ。別の街に出て行った奴もいるが、お前が一番驚くのはクラリスだろうな」
「クラリス?」
いや、どちらかというと目の前のグランツ以上に驚くことは無いと思うのだが、グランツはレイルスが間違いなく驚くと確信しているようでニヤリと笑った。
クラリスの名前はレイルスも良く覚えていた。あのみんなを振り回すお転婆娘の事だろう。男勝りな性格とショートヘアーがよく似合う少年みたいな少女。いつもどこかに傷を作り、家に帰れば母親に怒られる声が街に響いくことでも有名だった。
「アイツは今、冒険者になっていてな。この街にいないんだよ」
「へえー、本当に?」
「なんだなんだ、反応悪いな」
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