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グランツは先ほどとは違い少し真剣な眼差しで問いかける。どうやらレイルスが旅に出た理由を覚えていたらしい。
「まだだな。今から最終試験を師匠に出してもらわないと。公的な免許というか、肩書きがないと半人前から上がれないしね。まあ、言われていたことは全てやったんたけど」
「やっぱ魔導技師になるっていうのは大変なのか?」
「どうだろうな。特別師匠がいい加減って可能性も否定できないんだけど、魔導工学と錬金術の両方を学ばないと行けないしなぁ。最近は遺跡の出土品も多くなってきてるし、学ぶ内容が多かったのは事実だな。旅に出ないと分からなかったことも結構あった」
へえ、とレイルスの話を聞きながら頷き、納得したような表情を見せるグランツ。自身も見習いという立場だから共通点もそこそこあるのだろう。
「それで、師匠の工房の場所って変わってない? そこに行こうと思ってたんだけど」
師匠の工房は、レイルス自身、育った街ゆえにどこにあったかは覚えているのだが、あの突拍子もない師匠のことである。迷惑を掛けて、街から追い出されている可能性もゼロではない。無駄足にならないよう一応グランツに聞いておくことにした。
「ああ……あそこはなあ……」
「まさか、街から退去させられたのか!?」
「それはないんだが……」
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