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暇そうに店番していたお父さんも呼んで、私たち家族と凪は、一緒にカレーを食べた。
凪は私の向かいの席で、寛人とゲームの話をしている。
「凪くん、またおじさんと釣りに行かないか?」
カレーを食べながらお父さんが言う。
「あ、行く! 俺も行く!」
すぐ口を挟んでくるのは寛人だ。あんたには聞いてないのに。
「な? 凪も行くよな?」
「うん。行きたい」
お父さんはにこにこ微笑みながら、凪のことを見ている。
ときどきお父さんは、私たち姉弟と凪を釣りに連れていってくれる。
この前行ったのは夏休み。なかなかの大漁で、帰りは重たいクーラーボックスを、私と凪のふたりで運んだ。空はオレンジ色に染まっていて、私たちの前を歩く寛人とお父さんの影が、長く伸びていた。
「莉子んちはいいな。いつもお父さんがいて」
そのときたしか、凪はそう言った。凪のお父さんは仕事が忙しくて、ほとんど家に帰ってこないらしい。
「そうかな? 一日中いるからウザいよ?」
私はそんなふうに答えたと思う。
「明日の運動会、応援してるわね。でも凪くん、かけっこ速いから余裕よね」
お母さんが凪のグラスに麦茶を注ぎながら言った。普段あまりしゃべらないお父さんも、怒ってばかりのお母さんも、凪には優しいのだ。
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