82人が本棚に入れています
本棚に追加
/237ページ
「凪は余裕だからそんなこと言えるんだよ。寛人が言ってたよ。凪は勉強ができるって」
「そりゃあさ。俺は絶対受かって、あの家出たいから。これでも必死に勉強してるわけよ。お前らの知らないところでさ」
凪の声に高嶺も言う。
「俺だって絶対、東京行くぞ。やっぱりいろんなものを見て、いろんなことを経験してみたいからな。この町じゃ、それができない」
東京か……みんなちゃんと先のことを考えてる。だけど私は親に言われたまま、なんとなく地元に残ろうと思っていた。
「……私も行こうかなぁ、東京。ふたりが行くなら」
「え、莉子は地元で就職希望だろ? この前の進路面談で決定したって言ってたじゃないか。そんな簡単に自分の意思を変えるなよ」
高嶺が言う。もっともだ。高嶺だったらそう言うと思った。だけど私は……。
最初のコメントを投稿しよう!