17歳・19

4/9
82人が本棚に入れています
本棚に追加
/237ページ
「来ればいいじゃん」  私の隣で凪が言った。 「莉子も来いよ。俺と一緒に」  私は隣の凪を見る。凪も私を見てふっと笑う。 「おい凪、変な誘惑はやめろ。莉子、こんなやつについていったらダメだ。こいつは絶対、都会でチャラチャラ遊ぼうとしてるからな。莉子まで都会に染まっちまう」  あんまり高嶺が必死に言うから、なんだかおかしくなって笑ってしまった。 「高嶺。私のお父さんみたいだね」  高嶺が少し顔を赤くして言う。 「心配なんだよ、俺は。莉子のことが」  うん。わかってる。高嶺がいつも私のことを、見守ってくれていたこと。 「大丈夫だよ。私だってちゃんとやれる。将来のことも、もう一度ちゃんと考えてみる」 「ほんとに大丈夫かぁ?」  高嶺はまだ心配そうだ。凪はそんな私たちのことを黙って見ている。  私は目の前に広がる海を眺める。一年後、私は、高嶺は、凪は……どこで何をしているのだろう。
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!