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「莉子」
「……なに?」
低い声で呼ばれ、胸が騒いだ。凪は真っ直ぐ、私だけを見つめている。
「俺、莉子のこと、好きだ」
突然の告白に、私はぽかんとしてしまった。だっていまここで、それを言う?
けれど凪は、さらに続けてこう言った。
「だから俺、莉子と付き合いたいと思う」
驚きと、戸惑いと、恥ずかしさと……いろんな感情があふれてきて、どうしたらいいのかわからない。
「お前いまさら、なに言ってるんだ?」
高嶺の声が聞こえた。
「お前が莉子を好きだってことくらい、小学生の頃から知ってたよ。なに? もしかしてお前、俺の許可がないと付き合えないとでも思ってたのか?」
凪が黙ってうつむいた。
「ふざけんな。俺はそんなに心の狭い男じゃない」
高嶺はバッサリそう言うと、私の肩をぽんっと叩いた。
「じゃあな、莉子」
高嶺が私に笑いかけ、すっと立ち上がる。そして堤防の上から降りようとしたとき、凪がぼそっとつぶやいた。
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