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「でもこれは知らないだろ?」
高嶺が振り返って凪を見る。
「俺が小学生の頃、莉子とキスしたこと」
「は?」
高嶺が驚いた顔をして、私たちのことを交互に見る。
「それ、本当か? 莉子」
私はあの日のことを思い出す。誰にも話していなかったこと。凪はもう、忘れてしまったのかと思っていた。
かあっと顔が熱くなり、しどろもどろに答える。
「もちろん……ほっぺに……だよ?」
「当たり前だ!」
高嶺も顔を赤くして、堤防の上から飛び降りた。
「腹立ってきたから、帰る。じゃあな!」
「あ、うん。またね」
苦笑いしながら手を振ると、高嶺はふてくされた顔をして、自転車で走り去ってしまった。
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