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「莉子ー!」
下の部屋からお母さんの声がする。私は出たくなくて、自分の部屋のベッドの中、布団を頭からかぶって丸くなる。
今日のために買ってもらったブレザーとスカートは、きっと布団の中でしわくちゃになっているだろう。
「凪くんが来てくれたわよ! ちゃんとご挨拶しなさい!」
お母さんの声は聞こえていたけど、私は返事をしなかった。
「凪の……バカ」
そのときドアがコツコツと叩かれて、「莉子ちゃん? 入ってもいい?」という、優しい声が聞こえた。
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