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夕陽があたりを染めていた。家に向かって歩いている凪のお母さん。その少し後ろを黙って歩いている凪の背中。
凪の家の前に停まっていたトラックが走り出した。そしてもう一台、凪のお父さんが乗っている車が、エンジンをかけて停まっている。
私は足を止め、見慣れた凪の背中を見つめる。そして深く息を吸い込むと、ありったけの想いを込めて、その名前を呼んだ。
「凪ーっ!」
凪の背中がぴくんと揺れて、立ち止まった。少し先を歩いていたおばさんが振り返り、何も言わずに停まっている車に向かって歩いていく。
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