17歳・1

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 私たちはそれからしばらく海を見ていた。  そういえば小学生の頃、こんなふうに海を見ていると、やるせない気持ちになることがあった。  自分が成長すればするほど、いろんなことが変わっていく。でも私は変わりたくなかった。周りも変わって欲しくなかった。だけどそれを止めることはできないってことも知っていて。  大人になるのが、ただ怖かった。  そんな私も、中学、高校でそれなりに別れや出会いを経験してきた。小学校の卒業式で、ずっと親友だよと誓い合った陽菜とも、喧嘩をしたわけでもないのに、だんだん会う機会が減っていき……高校生になってからは一度も会っていない。  結局陽菜には「好きなひと」を教えることができなかったな。そういえばお揃いで買ったゆるキャラのキーホルダー、どこにやったっけ……なんてときどき思い出すけれど。それだけだ。  いろんなことが変わってきた。少しだけ、大人になることにも慣れてきた。  だけど変わらなかったものもある。それは目の前に広がる海と、私の家族と――いま隣にいる高嶺だ。  高嶺とは、小学校を卒業してからもずっと一緒。部活も同じだし、家も近所だから、朝も帰りも時間が重なり、なんとなく登下校も一緒になる。そのせいか、中学の頃から「付き合ってるの?」って何度も聞かれた。  もちろんそんなことはないんだけれど――でも高嶺といると、安心できる。高嶺がそばにいてくれて、本当によかったって思う。
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