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「明日香のほうかな?」
千佳に答える。
「ブッブー! なんと市井センパイからの告白でしたー!」
生き生きした顔の千佳の前で、私は苦笑いをする。
「そんなことより、千佳も早く彼氏作りなよ」
「うーん。なかなかいい人いないんだもん。ほら、私ってけっこう理想高いじゃん? 莉子には高嶺っちがいるからいいけど」
なんでそこに高嶺が出てくる?
「高嶺は幼なじみだよ?」
「そう思ってるのは莉子だけでしょ?」
私は廊下で立ち止まる。振り向いた千佳が私を見て、にやりと笑う。
「高嶺だってそう思ってるよ」
「いやいや、高嶺っちは違うって」
そして人差し指をぴんっと立て、私のことを指さす。
「高嶺っちは莉子のことが好きだと、私はみてる」
私は思いきり首を横に振る。
「いや、それないから。私と高嶺がそんな雰囲気になったこと、一度もないもん」
「莉子は鈍感だから気づかないだけ。少しは高嶺っちの気持ちも考えてあげなよ」
高嶺の気持ちって……? 考えたこともない。
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