17歳・2

5/6
前へ
/237ページ
次へ
 千佳と靴を履き替え外へ出た。真上に上がった太陽は、今日も夏のように輝いている。  少し歩くと自転車置き場が見えてきた。耳にイヤホンをつけ、暇そうにスマホをいじっている高嶺がいた。 「じゃあ私はここで」  千佳が意味ありげに笑って、私に手を振る。徒歩通学の千佳とは、いつもここで別れるのだ。 「うん。また」  私も千佳に手を振ると、自転車置き場にいる高嶺に駆け寄った。 「おまたせ」 「……ん」  高嶺がイヤホンを耳からはずす。いつもの高嶺なのに、千佳があんなことを言うから、なんだか変に意識してしまう。 「な、なんの曲聴いてたの?」 「曲じゃない。英語のリスニング問題」 「さすが、高嶺」 「いや、普通だろ。明日英語のテストだし」  高嶺がカシャンっと音を立て、自転車を取り出す。私も急いで、自分の自転車に手をかける。  そのとき――  高嶺の向こうに、男子生徒の姿が見えた。この前の茶髪の子だ。女の子がその子の肩をぽんっと叩いて、「また今度ね」と言って去って行く。
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加