17歳・2

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「じゃあな」  耳に聞こえる低い声。私は自転車のハンドルに手をかけ、突っ立ったままだ。女の子と別れた男の子は、黙って自転車を取り出そうとしている。  高嶺は気づかない。気づかないで自転車置き場から出ていく。さえぎる人がいなくなって、私の目にはっきりと、その姿が映る。 「……凪?」  私はつぶやいていた。その場に立ち止まったまま、金縛りにあったように動けなかった。  ゆっくりと顔を上げた男の子が、私を見る。  そして一瞬驚いた顔をしたあと、私の聞いたことのない声で、私の名前を呼ぶ。 「莉子」  私よりずっと背が高くなったその顔を見上げ、ブラウスの上から胸元をきゅっとにぎった。  もう体の一部のように馴染んでしまった、貝殻のペンダント。  凪のお母さんがおまじないをかけてくれた、大事な宝物。  願いが――叶った。  私の顔を見下ろすように見ていた凪が、ふっと口元をゆるませた。
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