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雨の日は嫌だ。
昔、まだ大学生の時に、自分より背の高い男性と一緒に歩いて居て言われたことがある。
私と並んで歩くと、傘が腕に当たって、袖が濡れて嫌だと。
フツーそこに無いだろう、ってとこに傘があるから、邪魔だと。
雨の日に、並んで歩くカップルをつい見てしまう癖がついたのはその頃からだろうか。
相合傘が自然に出来るような二人は幸せだ。
「すいません。お待たせしました」
駅のロータリーで人の流れを眺めていると、待ち合わせより五分ほど遅れて花村が来た。傘を差して小走りに、Tシャツにジーンズを少し捲ったラフな格好で。
「起きたのは早かったんですけど、もう少しマトモな部屋にしようと思ってるうちに気が付いたら」
「いいよ。それでなくても、引っ越しでそれどころじゃないでしょう」
「すみません。ええと、昼とかは」
「朝が遅かったから大丈夫。花村君が何か食べたければ」
「じゃあ、そこで何か軽く買っていいですか」
駅前のコーヒーショップで、アイスカフェオレ二つとサンドイッチを買って、彼の家に向かった。
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