うちの奥さん

1/1
前へ
/259ページ
次へ

うちの奥さん

ご主人の次は、奥さんの紹介をしましょう。 めったに帰宅しなかったご主人の代わりに、結婚前から、しょっちゅう私の食事を用意してくれてた救世主。 気が利くいい子よ。 ちょっとおっちょこちょいで、おバカさんだけど。 名前はまほさん。 まささんとまほさんの夫婦で呼びづらいから、 奥さんとしか呼んでないけど。 奥さんには、どっちで呼んでも、 「にゃー」 としか聞こえてないみたいで、 「どうかした?ウミ。 もうお腹空いた?」 と首をかしげられるだけだけど。そんなにしょっちゅうお腹すかしてる訳じゃないわよ。 奥さんは、そうね。 ちょっと体が弱いの。 ご主人曰く、「持病持ち」らしいわ。 毎日、色んな色の小さな粒を飲んでて、 月に2回ほど、消毒薬の臭いをさせて帰ってくるわ。 「びょういん」ってやつね。私もこの人生、猫の生涯?の中で何度か連れていかれたけど、とにかくおっかないところだったわ。奥さんは毎回よく平気よね。 だいたい、少し疲れて帰ってくるけど。 「にゃー」 私が、大丈夫かい?ってすり寄っていくと、 「ただいま、ウミ。 うん、ありがとね」 と弱々しく返してくるわ。全く無理しちゃって。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加