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「オレがいつも行くイタリアン、青山にあるんだ。よし、タクシー止めっか」
細い路地から車通りへ、さらに大きな幹線道路へと移動しながら、
聖夜は車の流れの中にタクシーを探している。
「ねぇ待って!」
彼の腕を揺さぶる。
「地下鉄で行きましょ、まだ時間に余裕あるでしょ?それに・・」
「なんだよ?」
「もっと聖夜さんと並んで歩きたいから」
ようやく言えた。相手の提案をさえぎって、自分の意見をとおすという事。
今まで、先を越されると必ずうんいいよ、と相手の意見にあわせてきた。
絶対にまずい事でなければいつでも相手に任せてしまった。
この前聖夜に言われたように、相手の顔色をうかがってばかりじゃつまらない・・
聖夜は気持ちをくみ取ってくれた。
よし、紺ちゃんに従おう!とギュッと肩を抱き寄せて地下鉄の階段へと足を向けた。
彼の体に密着している部分が、とろけそうなくらい熱を帯びてきた・・
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