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246沿いのわりと新しいビルの地下へと続く階段。
降りながら、すでに別世界の様子がうかがわれた。
さらに降りきると、店の入り口を見ただけで、足が震えてきた。
ものすごく高級そうな門構え。ドアマンがいる。
私たちの姿を確認したのか、長い取っ手に手をかけている。一瞬、足が止まった。
「どうしたよ?」
2歩先に進んだ聖夜が振り返る。
「こんな高級なレストラン・・私初めて・・来たことないの、緊張しちゃう・・」
女子会や友達と行くのはもっと気軽なイタリアン。
赤いチェックのビニールのテーブルクロスが引いてあるような、庶民的な店。
今まで付き合った男とさえ、こんな立派な店には行かなかった。
私も、そして付き合った男達も、豪華なものは好まなかった。
だから大げさかもしれないが、どんな風に食事すればいいのかわからない怖さで
足がすくんでしまったのだ。
「そんな気負うこたぁねーだろ、たかがメシ食うだけでさ。
来たことないんならちょうどいいじゃん、初体験で」
聖夜が私の隣に並び、背中を押す。
一歩前に踏み出すと、それを見てドアマンが扉を開け迎え入れてくれた。
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