恋の記録

レザーソール

私は水樹さんのアドバイスを聞き、パンプスを修理することにした。

彼が店長を務める『ドゥマン』は、カフェと同じ六階フロアにある。他のテナントに比べて床面積が広く、従業員も多い。

特徴的なのは、店舗の一角に設けられた修理スペースだ。顧客のみならず、新規の持ち込みも受け付けるとのこと。

一人の従業員が中で作業していたが、私の靴は水樹さんが修理してくれるらしい。彼は靴の販売員というだけでなく、修理やメンテナンスを行う技術者でもあった。

「三十分もかからないけど、時間は大丈夫かな」

「はい、お願いします」

水樹さんは靴を預かると、スリッパを貸してくれた。私は店の隅のベンチに座り、待つことにする。