レザーソール

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三十分後、水樹さんは修理スペースから出てきた。 私の前にしゃがむと、手にしたパンプスを裏返して見せる。 「トップリフトを取り換えたよ。部品の在庫があって良かった」 「ありがとうございます」 パンプスを履いて椅子を立とうとすると、彼がそれとなく手を取り、支えてくれる。 指先を少し借りただけなのに、とてつもない安定感だった。 「違和感は?」 「ありません。大丈夫です」 水樹さんは微笑み、エプロンを脱いだ。 水色のワイシャツが、彼の爽やかなイメージを際立たせる。私はまたしても彼の姿に吸い込まれた。 そして、ネクタイの結び目を直す仕草を見るうち、初めてあることに気が付く。 結婚指輪をしていない――
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