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いくら彼が、私の理想のタイプど真ん中だとしても。
「それで、やっぱり靴底にラバーは付けないのかな?」
「はい?」
いけない、ぼうっとしていた。
私は気を取り直し、穏やかに問いかけてくる水樹さんを見上げる。
「ええ、ラバーは付けません。滑り止めになるし、そのほうが安心ですけど……レザーソールならではのお洒落な雰囲気が好きなので」
感情の起伏を覚られないよう、よどみなく答える。彼の眼差しは相変わらずまっすぐで、ちょっと怯みそうになったけれど。
「そうか。うん、危なっかしいけど、君らしくていい」
「……」
水樹さんは私の言葉に頷いてくれた。
でも、私は彼の言葉に戸惑いを覚える。
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