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「では、これで修理は完了だね。何かあればまた、ご相談ください」
「ありがとうございます。あの、おいくらですか?」
私はバッグから財布を出し、修理代を払おうとした。すると水樹さんは、
「今回はサービスさせてもらうよ」
当り前のように言う。私は驚き、ぶんぶんと手を振った。
「とんでもない! 食事代も出していただいたのに、これ以上甘えるわけにいきません。絶対に払わせてください」
水樹さんは困った顔になるが、こちらのほうが困ってしまう。今日初めて会った他人に、そこまでするのはサービス過剰だ。
「そうか。でも僕も絶対に、払わせるつもりはない」
「ええっ?」
どうして、なぜ、そこまで頑なに?
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