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(ただの親切にしては強引すぎる。もしかして、やっぱり水樹さんも私を……)
またしても妙な期待を抱きそうになり、慌てて妄想を打ち払った。
「そ、そんなことを言われても、私、困ります」
「僕も困るな」
しどろもどろの私に、水樹さんは一歩近付く。そして、熱を帯びた男性の声で、低く囁いた。
「靴の修理は口実だった。商売のためじゃない。君を、誘いたかっただけ」
「……」
これは夢?
それとも、夢みたいな現実?
期待してもいいってこと!?
胸の中で、矢継ぎ早に質問する。
瞬きもせず見上げる私に、彼は照れた顔で微笑んだ。
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